PROJECT 01

電子・デバイス部門

DAIKI
GOTO
後藤 大輝
電子機器部第二課
2008年入社
経営学部経営学科 卒

カードプリンタ事業の未来へ向けて、
開発・設計に強みを持つ、企業の一部の事業を買収。

CHAPTER 01

「後藤、今日からジョインだ」

2016年、後藤がプラント・船舶部から電子機器部へ異動した年。部内では、兼松が20年以上にわたって、販売、マーケティング、サービスのノウハウを蓄積してきたIDカードプリンタ事業に関して、新たな取り組みが始まろうとしていた。近年、デバイスのスマート化の進展やセキュリティの重要性の向上などに伴い、個別ニーズへの対応力、スピード感が一層重要視される中、兼松は、今後のIDカードプリンタ事業発展へ向けて新たな一歩を踏み出す時期を迎えていた。その一歩として、商品の企画・設計・開発という川上分野に活動範囲を広げることが検討されていたのだ。そのような状況下、兼松が乗り出したのが出資先である企業投資ファンド運営会社との大手AV機器メーカーA社のカードプリンタ事業の共同買収だった。

後藤は、買収案件が検討されている状況を横で見ながら、自分も本案件にジョインしたい、と密かに意欲を燃やしていた。そんなある日、買収契約交渉に向けた社内調整が終わってデスクに戻ってきた部長と課長に飲みに誘われた。「ここだ!と思ったのを覚えています。そして、自分も参加させてほしいと、飲みの席で志願しました。個人的なビジネスへの情熱はもちろんですが、それだけでありません。自分たちの世代にも買収案件の過程を見せてほしいし、それが兼松の次世代のノウハウになっていくと、自分が参加する意義を訴えました。しかし、その場の部長の反応は、『うーん、どうしよう』でした(笑)。買収案件の経験もノウハウもないですから当然なんですけどね」

ところが、その一週間後、部長から思わぬ果報が届けられた。「後藤、今日からジョインだ」その当時を振り返って後藤は述懐する。「想いが届く会社って良いですよね・・・」

CHAPTER 02

断片的な情報を集め、新会社立ち上げのスキーム図を描く。

後藤がアサインされたのは2016年12月。年末の段階で大手AV機器メーカーA社側と合意に至り、2017年3月1日のカードプリンタ事業譲渡に向けて、新会社としての運営開始に必要な体制や仕組みを構築していくことになった。期間はわずか2カ月。後藤は、その新会社立ち上げのうち、物流・調達、人事制度の取りまとめを任されることとなった。

本買収案件の特徴は、カーブアウト(事業の切り出し)であること。スタンドアローンイシュー(元々企業の1組織であった事業を独立させるためにやるべきこと)は数限りなくあった。「例えば、今まで社内の物流部門に任せていたことを、独立後は自分たちで行うことになります。そのため、売り先(カードプリンタ事業部)の営業部、物流部の方々とともに、現状の商売の流れをひも解きながら、独立後に必要な各種手続き、契約関連を進めていきました」

そんな中で難しさを感じたのは、商売の流れ、物の流れの全体像をつかむことだった。「営業に関しては、契約までのプロセスは心得ていますが、その後の商流はほぼ未知の領域。一方、物流の方で理解していたのは注文依頼以降の流れのみでした。そこで、関係者一人ひとりから断片的な情報を集めることから始めました。兼松には頼りになる職能部門があり、本件は運輸保険部・安全保障貿易管理室の方々のサポートの下、一つのスキーム図をまず仕上げていきました」

その後、後藤は再度、関係者を集めて、一つひとつ、「この流れでいいのか?」「この作業はこのやり方でいいのか?」と確認して、認識のレベル合わせを行い、スキーム図を修正してブラッシュアップ。それを繰り返しながら、問題を解決していった。「電話で埒があかない場合は、すぐに会いに行ってその場で情報共有・合意形成。そういった地道で根気の要る日々の積み重ねなくして、新会社の輪郭を鮮明にしていくことはできませんでした」

CHAPTER 03

新会社の社員の方々の想いに寄り添って。

新会社立ち上げに向けて、後藤が特に気を配ったこと・・・それは、社員に独立後の新しい会社の全体像を示すことだった。「独立後、自分たちがどうなるのか。社員の方々はとても不安を感じていました。そこで、『この業務が増えますが、兼松の運輸保険部がサポートします』『経験豊富なサポートメンバーの方が増えますので安心してください』などと、独立後の体制について丁寧かつ細かく伝えるよう努めました。そのようにとことん向き合って話していくうちに、社員の皆さんの不安が払拭されていくのがわかりました」

後藤の陣頭指揮のもと着々と新会社の物流・調達、人事制度の形は整えられていった。しかし、本買収案件のスタンドアローンイシューには、財務やITシステム、法務などもある。「実は最初は、おまえがその全部をまとめろ、という話だったのですが、当時の自分には手に余る内容でした(苦笑)。結果、私の取りまとめの範囲は物流・調達、人事制度となり、それ以外は兼松社内の財務部やIT企画部、法務コンプライアンス部のプロフェッショナルに頼ったのですが、兼松には頼れる人材が多いことを再確認し、感謝するばかりでした」

チーム兼松で、新会社立ち上げを推進し、2017年3月1日、新会社GPIは無事、運営を開始した。この時、後藤は安堵する一方で悔しさも感じていた。「本当は財務やITシステム、法務、についても把握したかったのですが・・・。もっとうまいやり方があったんじゃないかなと正直思います。部長には、『うまく旗を振れなかったので、もう一回チャンスをください』とお願いしました(笑)」

しかし、後藤の実力と仕事の成果は、独立後、後藤が新会社のオフィスを訪問した際、社員の方々にかけられた言葉が物語っている。

「おかげさまでうまくいっているよ」
「後藤くんの席、ここにあるけど、いつ来るの?」

後藤は後輩に継承すべき、買収案件に関わるノウハウを確実に積み上げていたのだ。

新会社立ち上げに伴う宴席での集合写真
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