鉄鋼・素材・プラント
2003年入社
文学部 卒
自分の価値を発揮し、
事業パートナー会社の事業をサポート。
入社11年目だった穐山は2013年から3年半、かつてオイルブームに湧き、"Oil Capital of the World"と呼ばれた米国オクラホマ州タルサに拠点を置くSSOT社(Steel Service Oilfield Tubular)への出向を経験した。SSOT社は、兼松50%出資の油井管問屋【*1】。30年の事業パートナーであり、兼松は、SSOT社を通じて、米国の大手石油会社に油井管を販売している。
実は、兼松から同社への派遣は、穐山が第一号。ということもあり、あらかじめ仕事が用意されているわけではなかった。「私がまず取り組んだのは、いかに自分の価値を出して仕事をつくり、仕事を任せてもらえるか。完全にゼロベースからのスタートということもあり、最初のうち、SSOT社の社員の方々は、外部から来た私を警戒していましたし、情報をあまり出したがらない様子でした」
SSOT社で、たった一人の日本人ということに加え、英語でのコミュニケーションの壁もある。街に住む日本人もかなり少数であり、完全なアウェイ。それでも穐山は怯まず立ち向かった。「兼松の社員であることを一旦忘れて、『SSOT社で一緒に事業に取り組む仲間として、サポートするために来た』という姿勢を前面に押し出しました。私が仲間であり役に立つ人間だと思ってもらわないと、何も始まらないですから」
穐山は鋼管の発注、在庫管理、油井管の加工の手配からコストや売値の計算まで、あらゆる面でサポートを行った。中でも穐山がその価値を発揮したのは、技術的側面だった。「例えば、お客様である石油会社の井戸がどのような腐食環境にあるのかを把握し、それに対してどんな材質の油井管が最適なのか。長年の実務や鉄鋼メーカーさんから学んで会得した技術的知見を駆使して、セールスパーソンへの助言や石油会社への情報提供を行い、SSOT社の商売に大いに貢献できたと思います」
やがて穐山は仲間として認められ、いつしか営業・技術アドバイザー&コンサルタントというべきポジションを獲得していた。そのポジションは今、後輩へと受け継がれている。
「兼松からこちらへ移らないか」SSOT社から日本に帰任する際に、社長から贈られた最後の言葉は、その後の穐山の大きな自信ともなっている。
【*1:油井管】油井やガス井で、石油や天然ガスを採取し、汲み上げる際に使用されるパイプ。地中や海中などの厳しい環境下における耐食性が求められる。