食糧
2016年入社
人文学部 卒
あらゆる専門知識をベースに
韓国の現地法人の職能体制を構築せよ!
「韓国の現地法人の職能体制を構築してきてほしい」。上曽山が上司からそう依頼されたのは、入社後、財務部を経て、営業経理部に異動し、4年目を迎えた時のことだった。「韓国で出資先と新規プロジェクトがスタートすることになり、韓国の現地法人が商売に関与することになったものの、これまで現地法人では資金負担や信用リスクを伴う取引をあまり行っていないため、現体制では資金繰りや与信管理などが万全とはいえない。新規プロジェクトがスタートするまでに基本的な職能体制を整備してきて欲しいと。財務、審査、経理、などあらゆる職能の知識が必要であり、いわば、それまでの私の職能業務の集大成とも言えるミッション。その責任の重さに震えました」
上曽山は自らの不安を吹き飛ばすかのように、事前に、現地法人のナショナルスタッフに職能業務を教えるための研修メニューを綿密につくりあげ、韓国へ向かった。研修期間はわずか1週間。その間に、重要出資先との新規プロジェクトを成功させるための土台づくりを完了しなければならない。「短期間に全ての知識を完璧に覚えこむなど不可能。しかし、職能業務の知識を知る目的がしっかり頭に入っていれば、商売が始まった時にそこに立ち返ることができる」そう考え、最初の2時間は、現地法人の社長にも同席いただき、ナショナルスタッフのキーパーソンに「資金繰りがビジネスを運営する上で非常に重要な業務であること」「取引先の信用リスクを見極めて与信枠を設定し、その範囲内で商売をコントロールする重要性」・・・などを伝えた上で、1週間の研修メニュー全体を俯瞰した概要を説明した。
その後、資金繰り、与信、為替・・・など分野ごとに実際の実務に落とし込む研修を実施。その中で上曽山が苦労したことがある。事前に準備した以上の知識・情報が求められる、実務的な質問が次から次へと飛んできたことだ。上曽山はその都度、本社に協力を仰ぎ、自分でも調べながら、回答を用意し、より噛み砕いてわかりやすく伝えた。「財務部と営業経理部での経験から、社内にいる各分野の専門家を知っていましたし、また、どこの誰に何を聞けば正確な知識・情報が得られるかわかっていたことが大いに役立ちました」
さらに、上曽山が心がけたのは、経理担当、営業担当のナショナルスタッフのデスクに赴き、必要書類の種類やシステムの運用方法など実践に即してFace to Faceのコミュニケーションで教えることだ。「単に知識を詰め込まれても不安だろうなと。私自身、入社後、財務や経理の知識ゼロから職能の業務を始めたので、教わる側の気持ちがわかるんです」
1週間の研修期間を終えた時、上曽山は兼松の商売にとって、職能業務がいかに重要かを再認識するとともに、大きなやりがいを実感した。しかし、営業経理部としてすぐそばで営業担当の仕事を目の当たりにするうちに、入社前に抱いていた「営業にチャレンジしたい」という思いが再燃。その後、上曽山は自ら希望して営業部門へ異動した。「職能部門を経験した私だからこそ発想できる商売をつくりあげたいと思っています」